Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.19
2003
子犬の脳の発達と
筋肉記憶(マッスルメモリー)


 多くの飼い主が、子犬が若いうちに良い習慣を身につけることが大切だと理解しています。脳の発達について研究している科学者は、若いうちに物事を繰り返し行うことにより学習すると言っています。ある行動を何度も繰り返し行うことで、脳内にパス(道)ができ、その後その行動をとる時、そのパスから体に指令がでます。
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 マッスルメモリーという言葉を聞いたことがあるかもしれません。競技者はこの表現を、考えなくとも体が動くという意味で使います。実際には、筋肉が記憶するのではありません。よく慣れた動作を重ねることにより、その動きの発達と蓄積により学習されるのです。生まれたばかりの子犬が動き始めると、その動きの情報は脳内の特別な神経経路に沿って送られます。これらの神経経路(エングラム)は、情報が好んで通る脳内の轍のようなものです。犬(人間もです!)トレーニングのエクササイズをしている時に、新しい動きのパターンを学習しています。最初は体を注意深く特定の姿勢にさせる、または動かします。その動きが自然になるまで、十分な時間をかけてその動きの練習をすることが必要です。そうすると、注意深くしていた動きが、考えずに自然にできる行動に変化するします。

■ 人間の例

 別の部屋で電話がなりました。電話のことろまで体を動かし、受話器をあげ、耳につけるという過程を考える必要はありませんね。歩くことも考えずにできる動作のひとつです。どこへ行きたいか決めるだけで、後は体が自然にしてくれます。歩くということは、生まれてからある時点で身につけた機械的なスキルなのです。赤ん坊の時は、集中もしたし練習もしましたが、今はどうすればできるのかなどと考えませんね。

■ 犬の例

 犬に「スィットアップ(ちんちん)」を教えたいとします−お尻を床につけ、両前足を上げるという行動ですね。最初はその姿勢をとるためにもがくかもしれない、倒れるかもしれない、前足を高く上げすぎるかもしれませんね。これが、繰り返すことによりスムーズでバランスのとれた自然な動きになってくるのです。

 あなたとあなたの犬がトレーニングをしていると思ってください。脳内に新しいパスを作っているのです。双方ともに練習が必要です。そうすると新しい行動がどんどん簡単になるはずです。

 子犬のトレーニングをする時には、一度の長いセッションをするよりも、短時間で何度も行う方が効果的です。人も犬も学習効果をあげるには、一貫してエクササイズを繰り返してください。過去数年に渡り、私が行うパピークラスではデータを集めています。「オスワリ」のエクササイズを例にあげてみます。8週齢の子犬と飼い主には、1週間1日25回の繰り返しエクササイズで、オスワリがスムーズにできるようになります。これは1日にたった5セッション、1セッションにつき5回繰り返すだけです。時間にすると1日5分以下にしかなりません。

 報酬ベースのプログラムは、このような良い基盤と、さまざまな環境と報酬のスケジュールを提供することに基づいています。一度声をかけただけですぐにオスワリし解放(リリース)されるまでそのままでいることを、ほとんどの子犬は3、4週間で学習できます。


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