Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.1
2003
 犬と人間は種こそ異なりますが、特別な関係を築き共に社会生活を営む仲間です。犬の飼い主という呼び方をしますが、こういった関係において人間の立場は、所有者というよりはむしろ保護者だと私は考えます。良い親がするように、犬の存在・性質ともに尊敬の念を持って接し、必要に応じてほんの少しのリーダーシップを示すべきでしょう。犬は人間ではありませんが、とても特別な家族の一員です。ご自分の愛犬をこのように考えているのなら、このニュースレターはあなたにぴったりです。
 このニュースレターを通し、毎日の生活に役立つアイデアやトレーニングに関する情報をお届けします。犬と生活をしている人は、すべてドッグ・トレーナーです。犬は自分のとった行動の結果から常に何かを学習しています。犬は環境から学び、家族というのは犬を取り巻く環境の中でもとても重要な部分です。
 陽性強化を基礎とした動機付けトレーニング法を、クリエイティブな犬に優しい形で紹介します。ゴールをしっかりと定めたエクササイズから犬との良い関係作りに役立つ要素など、内容はさまざまです。
 愛犬とのより良いコミュニケーションにむけ、犬の視点で物を見るとどうなるかを知るために、このニュースレターを役立てていただければ幸いです。

呼び戻し image
 

呼ばれたら来る

 最後に「オイデ」と言ったのはいつですか?数日前まで遡って考えてみてください。典型的な飼い主さんの答えはおそらく以下のようなものでしょう。
 猫を追いかけるのをやめさせようとした時。爪切りをしようとした時。ゴミあさりを止めさせた時。仕事に出かける時・・・。
 犬の視点から見ると「オイデ」は良い言葉ですか、それとも悪い言葉ですか?
 言い換えれば楽しいことや良いこと、褒められる事を予期させる言葉ですか、それとも悲しいことや悪いこと、がっかりすることなどを予期させる言葉ですか?
 もし「オイデ」と言ってこういった事をしてきたのであれば、もうその言葉を使うのをやめましょう。これまでも効果はなかったのだし、今後その言葉に対して犬の持つ印象を変えていくには多くの労力を必要とするからです。それよりも新しい言葉を用い「来る」という行動を教えていった方がはるかに速く効果的です。ここでは呼び戻しのトレーニング方法にはふれません。カラーを掴む時やリードを着ける時、犬にそれを良い事と関連付けさせるための「ガッチャ エクササイズ(※1)」というものをご紹介します。

ガッチャ エクササイズ

 犬のカラーを掴もうとすると犬が後ろに下がってしまい、困ったことはありませんか?リードを着けようとすると円を描いて逃げ回る犬がよくいます。これはおそらくカラーを掴まれリードを着けられると、楽しいことが終わってしまうという経験をしばしば繰り返した事によるのでしょう。ガッチャ エクササイズではカラーを掴まれると良いことが起こるという事を犬に条件付けていくのです。
 一日のうち時間の間隔をあけた数回、カラーを掴んで小さなトリーツ(※2)を与えます。これは愛犬が自宅の中や庭、またはリードがついた状態など安全な状況で行います。名前も呼びませんし「おいで」と言葉もかけません。一切の言葉をつけないでください。ここで唯一教えたいのはカラーに手がかかる=とてもおいしい食べ物が出てくるということだけです。これを犬の睡眠中、食事中、何かに夢中になっている時以外で、そばにいる時ならいつでも行ってください。
 最初はトリーツを見せなければならないかもしれませんが、この場合でもトリーツで誘導する形はとりません。つまりトリーツは自分のそばに持ち、犬が自ら近寄って取りに来る状況を作るわけです。
 犬のほうへトリーツを差し出さないようにします。理想的な形は以下の通りです。

 1. 手でカラーを掴む
 2. 犬がトリーツをもらう

以下は間違った方法です。
例1) 1. カラーを掴む
2. まったく同時に犬にトリーツを与える
例2) 1. トリーツを与える
2. カラーを掴む

 呼び戻しというより関係作りのエクササイズです。そしてこれはその後のアテンションを要するエクササイズの良い基礎となるものです。また、過去に犬が経験したカラーを掴まれる事のマイナス感情を払い去るのにも役立ちます。それまでの「オイデ」に代わる、より効果的で新しいキュー(※3)の基礎にしましょう。
用語の解説
(※1)ガッチャ=「つかまえた!」の意味
(※2)トリーツ=トレーニング時に用いる食べ物のご褒美
(※3)キュー=きっかけ、合図など

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