Pet Dog Training TIPS Vol.3
<2005>No.11
ODC(強迫性障害)
 ある問題行動を修正しようとする時にトレーナーやインストラクターが獣医師の助けを必要とすることがあります。本当のプロとして、自分の領域を超えたケースについては、その道の専門家に紹介するべきです。顧客の犬が継続的にある行動を繰り返さずにいられないようならOCD(強迫性障害)の可能性があります。最近ではよく単にCD(Compulsive Disorder)として獣医行動専門家は呼んでいます。これは特に理由がないのに、意味もなく継続的にある行動を繰り返すことを意味します。CDへの対処としては行動修正も一部をなしますが、獣医師の助けも必要です。

 もっともよくみられるCDの形はおそらく、前足を夢中になって舐めたり噛んだりすることでしょう。慢性的にわき腹の皮膚を噛んだりするのもCDの典型的な形です。身体の一部を舐めるたり、吸ったり、噛んだりすることでおこる自己トラウマは、一般的に獣医師の間で掻痒性皮膚炎(lick granuloma)と呼ばれています。こういう型にはまった行動は、始めは怪我やかゆみによって始まることがあります。例えば、傷の治りかけの不快感を感じるあたりから行動がみられるようになるということです。

 空中を噛む、空気を舐めるしぐさをする、同じところを行ったり来たりする、尻尾を追いかける(クルクル回る)なども典型的に見られる行動です。CD行動は恐怖、ストレス、葛藤、不安などからおこりえます。特定犬種や犬種の中でもある血統に多くみられたり、ある行動がでやすいなどの傾向があります。例えば、他の犬種に比べてブルテリアは尻尾を追う行動を見せやすいとか、わき腹を吸うような行動を見せる代表的な犬種はドーベルマンなどといわれています。

 これは常ですが、犬の抱える問題解決には水平思考と常識感覚が必要です。気をそらせることで行動を未然に防ぐか、舐める場合であれば、短時間ですが効き目があるのは苦味スプレーですね。こういった方法を使う場合は、きちんと組まれたプログラムの一部として考えてください。アテンションをとったり、気を散らすのは行動を強化してしまうことにもなりかねません。

 どういった検査が適切なのかとか、医学的な問題が根底にあるのかなどについては、獣医師が説明をしてくれるでしょう。現在または過去の飼い主の反応が、その行動に影響を与えている可能性があり、そこから問題解決のヒントを得ることも可能かもしれません。生徒さんの家族に犬をよく観察し記録をつけるようにおすすめしましょう。その行動をとる直前になにが起きていたか?犬にとって、その行動をとった結果、嬉しいことが起きていないか。またその行動が止むきっかけになっているのは何なのか。

 行動治療プランの中に、問題の原因を探りそれを取り除くというのは、行動治療プランの中の大切な要素のひとつです。例えば生活の中で犬にとってのストレス要因となるものがあれば、それを軽減するようにしてみます。その犬に合わない環境が生活の中にあるのかもしれません。その他の理由としては分離不安が考えられます。罰はCDには効果はありません。場合によっては、罰が行動の原因になっていることもあります。

 犬の行動学の専門、または強い興味のある獣医師からの手助けを得られるようにしましょう。適切だと判断された場合には、薬を使ったセラピーを勧められるかもしれません。セレトニンの再摂取を抑制する形の薬を使った方法がCD治療には効果があると言われています。(A.Leuscher, IVSI, Sept. 2000)獣医師は治療の一部として物理的に防ぐという方法を勧めるかもしれません。エリザベスカラーが役に立つ場合が多いです。
 脱感作や逆条件付けなどが、行動の修正として使われる主な技術です。

 ある犬にCD症状があるのではないかと疑われる場合には、日本動物病院福祉協会(JAHA)にコンタクトし、獣医師である行動のスペシャリストを探してみてください。JAHAの本部は新宿にあります。www.jaha.or.jp


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