Pet Dog Training TIPS Vol.3
<2005>No.9
他犬がいると集中できない
 よく生徒から受ける質問のひとつに他の犬が来ると、自分の犬が反応して困るというものがあります。興奮してコントロールがきかなくなってしまうというのです。犬は相手の犬と遊びたいわけです。そういう方へ私がするアドバイスです。

パートA

・自発的に犬がみる“チェックイン”行動を強化する

 クラスでは、参加している犬の気をインストラクターがわざとひきます。まわりで何か楽しい事が起きていても、犬は飼い主に集中して3秒間はそのディストラクションを無視するという練習をします。最初は犬の気を引くために名前を呼ばなければならないかもしれませんが、何度も呼んではいけません。アイコンタクトを犬からすることが、飼い主の「スイッチオン」ボタンになります。最終的な目標は、飼い主が犬が集中しているものから気を引こうとするのではなく、犬が自分から飼い主を見るまで待つのです。これは何度も練習しなければなりませんし、報酬も価値の高いものを使う必要があります。

・集中をとるエクササイズ

 レガシーの生徒は、それまでにトレーニングした、つまりたくさんの強化をされた「集中を取るための行動」というのをもっています。犬からアイコンタクトをしてきたらその行動をさせます。どんなエクササイズの例があるかというと、スピン、ハイファイブ、ごあいさつ(プレイバウ)、サイドチェンジなどです。こういった行動により、犬がご褒美をもらうことに夢中になり、他の犬の存在など忘れてしまいます。

・緊急時にできること

 バンドエイドのようなものですが、問題をその場で一時的に解決する場合の最初のステップです。忍耐力のない人も多いですから。この緊急策は、トレーニングしている(犬が学習している)間使うとよい方法です。私が長年近道として使っているのは、車でいうパワーステアリングの役目をする、引っ張り防止に役立つジェントルリーダーとヘッドカラーです。他社のものも試しましたが、やはりジェントルリーダーが使いやすいと思います。これを使うことで、向こう側からやってくる犬から、自分の犬の頭の向きをコントロールすることができます。

・犬に2つの異なる「歩く」キューを教えましょう

1.ヒール:これは飼い主の脇にぴったりとくっついて正しいヒールポジションで、飼い主に集中して歩かせる時のキューです。これが必要な状況は人ごみの中を歩く時や、割れたガラスを避けて歩く時に役立つでしょう。

2.LLW(ルース・リーシュ・ウォーキング):これは、お散歩中リードさえ引っ張っていなければ何をしていても構わないというものです。他の犬と問題を起こさない時や人に迷惑がかからないようなところでは、ほとんどの場合こういった形で歩くのがよいでしょう。犬にも、安全なところでは匂いをかいだり周りを見渡したりお散歩を楽しんでほしいですものね。

 このふたつはまったく異なるエクササイズとして生徒に教えます。LLWはヒールが崩れた形ではありません。LLWはヒールとは違う方法で教えます。教えるセッションも変えますし、違うキューをつけそれぞれしっかりと教えます。また解放のキューをセットにします。ヒールで歩くのかLLWなのかは人間が決めます。犬が決めるのではありません。犬(そして人)は白黒はっきりしていたほうがわかりやすいのです。これは人間のほうがあいまいにしてしまうことで、犬が混乱してしまうのです。さぁ、ここでLLWは終わり、ここでは数秒間きちんとしたヒールポジションで歩かなくてはということを犬に伝えなければなりません。その時間が終わったら、はっきりと終わった事を知らせるように、犬にヒールはおわり、ここからはLLWだと伝えなければなりません。


パートB

他の犬に反応する

 まずは他の犬とあった時のリードを上手に使う練習からします。お友達の犬が近くにいる時に、3から5秒間飼い主に集中するエクササイズで、ご褒美ももらえ、解放されて他の犬と遊べるという選択肢を与えます。

 これができるようになったら、次は実際に外で練習してみます。適切なフレンドリーな犬を相手に選んで練習の時間をとります。2頭の犬が遊びたがっているようであれば、まず自分の犬に2秒間だけヒールをさせてみます。相手の犬とは反対側に向って歩きます。できたらおやつをあげて、(安全な環境であれば)解放し、相手の犬とあそばせてあげましょう。2つもご褒美がもらえるのです。(始めのうちは)ほんの数秒ヒーリングをしただけでおいしいおやつと犬との遊びが手に入るわけです。

 犬にとって例えば他の犬の存在など本当に気が散るものや興味を持つものがあれば、いつでも、それをこういった練習の機会にかえて報酬を上げられるように環境をセットしてあげましょう。


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