Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.22
暴力のサイクル
子供-動物が犠牲:大人-人間が犠牲?


 私達の仕事には犬のトレーニング以上のことが求められるのでしょうか?米国ロードアイランドのリーグ・フォー・アニマルズは、このテーマに関する情報をまとめました。すべてのインストラクターが考慮すべきことです。その情報を以下にまとめました。

 ほぼすべての子供達が、世の中のものを探求する過程で虫や小さな動物を傷つけるという「無邪気さ」ゆえの残虐性を見せるときがあります。しかしそのほとんどは、両親や先生からの指導により、動物が痛みで苦しむことを理解します。ところが中にはその残虐性を生涯にわたって持ち続けてしまうのです。

 1962年から63年にかけ13人の女性を殺害したことで知られる「ボストンの絞殺魔」ルベルト・デサルボ氏が、その告白書のなかで、彼がまだ若かった頃、オレンジを入れる箱に閉じこめた犬や猫を矢で撃った経験があると語っています。

 1985年に死刑になったキャロル・エドワード・コールは、近年歴史に残る大量殺人を犯した一人でしょう。彼の最初の暴力的な行動は、子供の頃に猫を絞め殺したことに始まりました。

 ブレンダ・スペンサーはサンディエゴの小学校の子供たちに向けライフルを乱射し、2人を殺害し、9人に怪我を負わせました。のちに近所の人たちが警察に話したところによると、スペンサーは、猫や犬に尻尾に火をつけるなどの虐待を繰り返し行っていたそうです。

 動物虐待経験者のほとんどがセンセーショナルな殺人事件を起こすわけではありませんが、すでに暴力へ道に一歩進んでいるのです。精神病医学者のアラン・フェルサウスと仲間による画期的な研究により、人に対して犯罪を犯したものの多くがが、親からひどい罰を受けたり、動物を冷酷に扱った経験があることがわかっています。しかし、今日でも、動物虐待を深刻に受け止めている学校や司法システムは一般的にみられません。

 これは非常に不安なことで、動物虐待が人間に対する暴力の発展する可能性があるだけでなく、現在家族が問題を抱えている可能性もあらわしているのです。デビニー、ディッカート、ロックウッドが、子供の虐待事件でニュージャージー区青少年家族サービスが扱った57家族について最近調査をしました。このうちの88パーセントの家庭で、飼われているペットが親により同様の虐待を受けていることがわかりました。この結果は、イギリスのあるコミュニティでの動物虐待レポートを発表したジェームズ・ハットンのものとほぼ一致します。動物虐待経験のある23家族のうち83パーセントの家庭で、子供が虐待やネグレクトの危険にさらされていると社会福祉サービス団体が明かしています。

<私たちにできること>

 動物を虐待する子供は助けを必要としているということを、私たち教育する立場にあるものたちが認識することです。さらに家庭内で動物虐待が行われていると、子供への虐待が行われている可能性がることも知っておくべきです。もっとも大切なのは、誰かが異常に気づいているだろうと片付けてしまわないことです。私たち自身が1歩進まなければいけないのかもしれません。

 もしあなたが動物や子供の虐待・ネグレクトが行われているのではないかと思ったら、通報するのをためらわないことです。アメリカでは動物福祉団体が、通常の動物虐待の調査に行く時に、子供への虐待の兆候が見つけられるようなトレーニングをスタッフに行っています。あなたのとる行動が動物を助けるだけでなく、助けを必要としている人を見つけることにもつながるかもしれないのです。介入することで、虐待がエスカレートしていくのを防ぐことができます。


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