Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.20
新しい飼い主探しのためのトレーニング
「私を連れてって」という行動


シェルタースタッフとボランティア

シェルターの職員は忙しすぎるのに、その仕事はしばしば低く評価されています。すべての犬が新しい家庭にもらわれるわけではないと考えると心も沈みます。ひどく興奮した声で吠えている犬のいる環境も、スタッフの気分が沈む原因です。騒がしい行動は、犬を引き取ろうとやってきた見学者を遠ざけてしまいます。簡単にできる「私を連れてって」という行動をご紹介します。

「沈黙は金なり」:静かにしていることにクリッカーでごほうび

静かな状況で始めます。最初のクリッカー基準は、犬が吠えていないことというだけです。飛び跳ねること、フードボウルをならすことなどは、よしとします。その部分は後から対処すればよいのです。インストラクターであるあなたから、シェルターの管理者からこのプログラムを実施するよう言われたことや、何をするかを、スタッフやボランティアの人たちに説明するのです。犬がいない状態でクリッカーを鳴らしごほうびを出すタイミングを練習させましょう。静かにしている状態を上手に選びクリッカーを鳴らし、ごほうびをあげるのが大切だと説明しますが、騒いでいる犬にクリッカーをならさないということがより重要です!

スタッフもボランティアにも、このプロジェクトの一員であるということを自覚させます。意思決定の過程に彼らも加わってもらいます。提案はないか、彼らの意見を聞いてください。例えば、トレーニングするのに最適な時間帯はいつか。どういうごほうびが良いと思うか。トレーニング用フードは誰が提供するのか。どこに保管するのか。クリッカーの保管場所はどこにするのか。一回のセッションにどのくらいの時間を使うのか。12頭が並ぶくらいの犬舎なら、この「静かにしてたらクリックごほうび」セッションは5分以上続けることはすすめません。

デモンストレーション

スタッフが見ている時に、犬舎に入ります。もしかしたら1頭吠えていない犬がいるかもしれません。その犬はシャイで犬舎の後ろのほうにいるような子かもしれません。その犬にクリッカーを鳴らし、ごほうびをあげます。アイコンタクトや急な動きをしないで、フードを投げ込んであげるだけでよいのです。これはおとなしくシャイな子のためです。こうすることで人を少しでも怖いと感じさせずにすみます。また、騒がしい犬にはお勉強になるのです。他の犬達は何かやっているぞ、と考えはじめます。犬舎の廊下を行ったり来たり歩きながら、おとなしくシャイな犬または静かにしている犬ならどの子でも、クリッカーを鳴らしごほうびをあげます。タイミングを上手にとれば、一番騒がしい子でも静かになる瞬間があるはずです。息をしなければなりませんからね!わずかの時間のうちに、あなたがそばに来てクリッカーを鳴らしごほうびをくれるのを待つ犬が数頭はでてくるはずです。少しずつですが、ほとんどの犬が周りを見回し、自分も静かにしようと思うはずです。他の犬がもらっているものを自分ももらおうと思い、どうしたら手に入るか考えるからです。いつでも数頭は、ひどく騒がしく、興奮し吠え続けている犬というのがいるものです。そういった犬の近くにいる犬でおとなしい犬にクリックごほうびを続け、何をしているのか観察させます。驚くかもしれませんが、そういった犬たちも静かになり、クリックごほうびを待つようになるのです。

今度はスタッフにもさせてみます。「人が来た」が、おとなしくすることのキューになるのです。静かにするという行動が定着したら、今度は要求レベルを引き上げます。人が犬舎の扉から2メートル以内に近づいたらオスワリをするという行動です。将来犬を引き取りたいとやってくる人たちによい印象を与えるだけでなく、シェルターの職員にも良い影響を与えるでしょう。


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