Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.16
パピークラス

 以下の内容は、著名な獣医師であるR.K.アンダーソン博士が、1991年にアメリカ獣医師会の年次総会で行ったスピーチです。

獣医師の皆様へ

 私が子犬の飼い主、犬のトレーナー、獣医師たちからよく受ける質問です。

(1) 子犬がもっともよく学習する年齢または時期はいつか
(2) 8から9週齢の子犬に、獣医師やトレーナーが社会化プログラムを行う時の、健康面での私のアドバイスは何か

 子犬が生まれたときから学習は始まっていますが、子犬の脳は特に13週から16週の間に学習したこととや経験したことに反応します。ですから生後16週までの学習に最適な期間に他の子犬や犬、子供や大人、そしてさまざまな環境に対し学習と社会化の経験をさせるのは、ブリーダー、子犬の飼い主、獣医師、トレーナー、行動学者たちの責任ということになります。

 多くの獣医師が、この幼い時期の社会化と学習プログラムを、ブリーダーや新しい子犬の飼い主のための総合的な健康プランに組み込んでいます。16週のうちの、はじめの7から8週はブリーダーのもとで、そして残りの8週は飼い主のもとで行うことになります。この社会化プログラムを、ペットと家族の絆を深めるため、そしてその後12年から18年に渡ってかけがえのない家族の一員として暮らしていくための予防薬プログラムの主要部分として8週から12週齢の子犬に体験させます。

 この初期の特別な学習期間をフルに活用するため、多くの獣医師が飼い主に、8週か9週齢から始まる子犬の社会化クラスへの参加をすすめています。この年齢だと、伝染病に対するワクチンの第1回めは終わっている(または終えるように支持されている)はずです。これにより、その後自然な環境の中、もしくはその後の8週から12週の間にワクチンという人工的な形により、繰り返し抗原にさらされることで免疫力が高まる基礎はできていることになります。また、飼い主と子犬の社会化を行う人達は、衛生状態を良好に保つこととインストラクターと飼い主が注意深く対応することで、参加している子犬に自然露出の少ない環境を提供するようつとめるべきです。

 アメリカの多くの地域の過去10年間の経験と疫学データが、相対的安全性と病気の伝染がないことを立証しています。実際、ジステンバーやパルボの感染により犬が命をおとす危険性より、犬が問題行動により命をおとす(殺処分になる)危険性のほうがはるかに高いのです。現在多くの獣医師が、トレーナーや行動学者と協力しあいながら、病院内または近くのトレーニング施設で、新しい犬の飼い主にパピーの社会化クラスを提供しています。なぜなら、社会化とトレーニングをすべての子犬のための健康プランの重要な一部分として位置づけたいからなのです。この学習に対し特別に敏感な時期が、犬の行動に影響を与えるには最良の機会であることと、総合的な健康プランの中でも最重要なものであるとの認識を、私たちは持つべきです。

 リスクはあるのでしょうか?答えはイエスです。しかし、若干の例外はあるものの、10年に渡る良い経験とデータにより、獣医師たちは子犬が8週から9週齢から始める初期の社会化とトレーニングクラスを勧めるようになりました。もっとも、特殊な環境のため、さらに免疫力を高める必要があるなど特別なケースや状況にある子犬の場合には、私たちは常に獣医師のプロとしての判断に従います。パピークラスの始まりが遅れるような場合、犬の一生のうちでも特別な期間にあたるこの時期を有意義に過ごすべく、飼い主は家族以外の子供や大人などと社会化プログラムを始めるべきです。


Robert K. Anderson , DVM
Diplomate American College of Veterinary Preventive Medicine
Diplomate, American College of Veterinary Behaviorists
Professor and Director Emeritus, Animal Behavior Clinic and
Director Center to Study Human/Animal Relationships, University of Minnesota
Co-inventor of the Gentle Leader Headcollar


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