Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.12
イギリスからの研究報告:
犬をトレーニングするための正の強化法データ


教えようとするものは学ぶことを決して忘れるべからず

  この引用は犬のしつけ方教室を営むすべてのインストラクターに言えることです。トレーニングチップスを購読しているあなたはすでにこの信条をお持ちなのでしょう!この後続く文章は、あなた自身の継続教育のため、そして、報酬に基づいたトレーニングが、あなたの顧客の犬達に良いマナーを教えるには最良の方法であるという確信を得るためです。そしてこれを裏付けるデータが続きます。
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 歴史的に見て、家庭犬は主に負の強化または罰を用いてトレーニングされてきましたが、報酬を使った正の強化が近年広まってきています。用いられる方法により、犬の幸福度合いに差が出てきます。さまざまなトレーニング方法の相対的効果と犬の行動に与える影響を調べるため、364の質問票を家庭犬の飼い主対象に配布しました。8つの課題について、犬をどのようにトレーニングしたかの質問をすると、口頭による罰を使った−66%、身体的罰を使った−12%、褒めた(社会的報酬)−60%、食べ物の報酬を使った−51%、遊び−11%となりました。8つの課題の中で飼い主による服従性の評価は、報酬を使ってトレーニングした(P〈0.01)が罰は使わなかった(P=0.5)課題と絶対的な相互関係にあります。これも飼い主による報告で、16のよくある問題となる行動のどれかが見られたかについて訊ねた項目では、罰を使ってトレーニングした(P〈0.001)が報酬は使わなかった(P=0.17)課題と相互関係にあります。問題となる行動は妥協した幸せの形の現れだからです。こういった行動は不安な状態により引き起こされたり、不安な状態になるため、結果として犬は飼育放棄されたり捨てられたりという事になります。罰が問題となる行動の増加と関連があるため、オビディエンスで良い状態を作らないと犬の幸福がゆらいでしまうのです。結果として報酬を用いたトレーニング法が、ペットを飼う社会にはより役に立つと勧めています。
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 正の罰、嫌悪刺激を与えること、は効果的に行動を抑制します。しかしそれは正確なタイミングと犬の行動に理解のあるプロにより、適切に行われるものでなければなりません。ここで疑問がわいてきます。「次は何が起こるのか?」この方法で犬には(多くの問題行動の裏にある)ストレスや不安に対する代わりになる方法を教えられるのでしょうか?もっと重大なことですが、完璧なタイミングで行えないプロでない人、またはさらに悪いことに、子供が行ったらどうなるのでしょう?こういった方法を使った事による予期せぬ結果にはどういったものがあるのでしょう?マーガレット・ジョンソンCPDTの言葉です。

『犬の体の反応は人間に比べ5から7倍の速さです。犬の顎の強さは1,500ポンド立法インチ。これに加え犬には私達の前に何をしようとしているかわかる有利さがあるのです。こんなに人間にとって不利益な可能性があるのに、いったいなぜ問題解決の方法として力を使うのでしょう?こんな方法を他人に教えたいですか?』

参考資料
Dog training methods: their use, effectiveness and interaction with behaviour and welfare
E F Hiby, N J Rooney and J W S Bradshaw Anthrozoology Institute, Department of Clinical Veterinary Science, University of Bristol, Langford, Bristol BS40 5DT, UK
Abstract Animal Welfare 2004, 13: 63-69 and personal communication with Margaret Johnson


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