Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.11
刺激のコントロール

 昨年の夏のことですが、私は3週間ほど学生になりました。教師になる代わりに、教わるのはとても楽しい経験でした。インストラクターはアニマル・ビヘイビア・エンタープライゼズのボブ・ベイリー氏。その3週間、タイミング技術と学習理論の実践的応用を磨きました。ほとんどの時間をニワトリの「ディスクリミネーション(弁別)」エクササイズに費やしました。厳しいインストラクターのボブに認めてもらおうとクラスメイト達は懸命です。みんなボブから「弁別がうまくいきましたね!」と言われたいのです。これは、参加者のニワトリが合格し、コースもうまくいったということを意味します。弁別というとセント(臭気)を思い浮かべるかもしれませんね。それもよく犬と一緒にすることです。しかし動物により、形・色・サイズなどの弁別も非常に簡単です。エクササイズのひとつは、ニワトリにカギをつつかせるのですが、ライトが点灯した時だけというものでした。ライトはカギとは別の場所にあります。これが犬のトレーニングにどう関係しているのでしょう。

 本当によく考えれば、犬のトレーニングはすべてが弁別です。私達はオスワリというキューを出しますが、犬はそれがフセやオイデではないことを知っていなければなりません。オスワリというキューで、犬がお尻を床につけるということを意味するだけでなく、いつ、どこで、どうやって、どのくらいの間すわり続けているのかなども、犬に伝えるのです。

 最新のトレーナー達はコマンドと言いません、キューという言葉を使います。キューの技術的な名前は弁別刺激です。真の弁別、そして真の刺激のコントロールを得るために必要な基準のリストを、今回はご紹介します。本当に良くトレーニングされた犬とは。飼い主達は信頼できる犬を求めるものです。何があっても、いわれた事をきちんとする犬。あなたがインストラクターとして、生徒が本当に自分の犬に対し刺激のコントロールができているのかする方法です。

 オスワリを例にとってみましょう。

1 キューが出されると必ず犬はその行動をみせます。犬はすぐさまオスワリをします。ほとんどの人にはこれで十分でしょう。しかし本当はこれが確実性をみるためのスタート部分なのです。

2 あなたがその行動をさせなければ、犬はぜったいにその行動を見せません。トレーニングの時間だから、ご褒美がほしいから、というだけでは決して座りません。私達の犬の多くがこの基準に入るでしょう!動機付けによる方法でトレーニングされた犬は、しばしば今日のご褒美は何なのかと、その行動をしてみせるものです。

3 その行動は他のキューでは決してみせません。「フセ」と言われたら、犬はオスワリの反応をしません。もしオスワリしてしまうのなら、オスワリのキューに、いやオスワリだけでなくフセのキューも理解していないことになります!!!

4 ある特定のキューを出したのなら、他の行動はみせません。オスワリと言ったなら、犬は座るだけです。座って吠えたり、座った後にロールオーバーはしないのです。


 競技のためであっても、家庭犬であっても、本当に信頼できる犬を育てるには、上でご紹介した4つの基準を満たしていなければなりません。そこで初めて、犬が理解していると判断するのです。「弁別がうまくいきましたね!」

 犬が行動を理解し、4つの基準を満たしていると、例で紹介したような「オスワリ」という行動に対するキューは、非常にパワフルな道具になります。

 さらに良いことに、これは犬が飼い主とのコミュニケーション手段をマスターしたことになります。将来この行動以外のキューも、すばやく理解できることにつながるでしょう。


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