Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.8

リードの片側<オペラントの原理を応用する>

 インストラクターとして私達は、犬だけでなくクラスに参加するその飼い主の良い行動を強化しなければなりません。オーストラリアでインストラクターのための継続教育コースを教えていました。私の初期の生徒であるカリン・ブリッジは、私がクラスの参加者にご褒美を出しているアイデアにも一考の機会を与えてくれました。飼い主の強化という点について記事を書いた要約を紹介します。

クラスにやってくることへ強化因子を出す

 ご褒美を出すことは、クラスのドロップアウト率に影響を与えるのでしょうか。クラスにやってくるという行動を増加させるための強化因子として何を使うのでしょう。飼い主に何がクラスにやってくる動機になるのかと訊ねると、たいてい「うちの犬がいい子になっているから」と答えます。犬の行動が良い方に変わるというのは、強化になるかもしれません。しかしそれがもっとも効果的な強化因子ではないのです。理由はこうです。

上達した犬へのプライドというのは:

  1. すぐに出すことが難しい
  2. 客観的に度合いをはかることが難しい
  3. 保証できない
  4. 飼い主の協力次第である。


 どこかで聞いたことがありませんか!犬への効果的なご褒美の出し方にも同じような問題が見られますね。したがって、すぐに出る強化因子を見つけなければなりません。犬の場合と同じように、人により強化因子としてうまく動機付けになるものが異なり、また、ある人にとっては正の強化でも、他の人には反対の効果を与えてしまう場合もあります。

正の強化となりうるものは:

・褒め言葉
すぐに出すことができ、ほとんどの人に受け入れられます。たくさん誠意をもって使いましょう。
 
・他の飼い主との交流
飼い主をペアやチームにする、勝ち負けでないゲームをする、「コーヒーブレイク」の時間をとる。こういったことでクラスの参加者達の交流を図り、貢献することもできます。(「グループ行動」志向が強い人に向いていますね)
 
・犬との楽しい関わり
実際のアジリティトレーニングのプレッシャーがかからない安全な障害をいれたコースは、楽しいものです。各生徒に、持ってくる障害を考えてもらいましょう。ごく早い段階でも、ゲームやトリックのトレーニングを取り入れることで、犬と飼い主の関係を良くする助けとなります。
 
・フードのご褒美
人にも食べ物のご褒美は効果があります。イベントやシーズンにより特別なラッピングをしても楽しいですね。クッキーと飲み物を用意した、コース途中のサプライズ・パーティも喜ばれると思います。
 
・二次強化因子
証書、特別なリード、リボン、スクール・オリジナルのバンダナやTシャツが人気があって、値段も比較的安いです。(「捕食本能」の強い人には向いていますね)
 
・強化因子の率、価値、種類
この種類という部分は、より幅広い層の参加者に受けるだけでなく「サプライズ(驚き)」要素が動機付け効果を高めます。
 
・強化のタイミング
クラスの各生徒が望ましい行動を起こした時、常に1秒以内に強化することは実際に不可能です。1インストラクターに対するクラス参加者の数が多いほど、個々の参加者へ即座にフィードバックすることが難しくなっていきます。時間が遅れることで、学習速度だけでなく、動機づけとなるレベルにも影響がでます。もしかしたら、この事実を考えるだけでも、なぜグループレッスンより個人レッスンのほうが効果的(他のことすべてが同等だとして)なのかの説明になります。インストラクターの目が届き、望ましい反応をすぐに強化できるからです。
 
・強化のスケジュール
初級クラスの参加者には、より頻繁な強化率を適用していますか。オペラントの原理によれば、新しい行動を定着させるもっとも効果的な方法は、途切れない強化のスケジュールを用いることです。クラスの参加者にはいつも、犬には寛大でいましょうと話しているかもしれませんが、あなたは飼い主さん達に対してどのくらい寛大でいますか?私達の目標(クラスに通う)が常に安定して達成されているなら、変則的強化のスケジュールに移行して構いません。基準を引き上げ分化強化(したことの質によって)も適用しましょう。クラスに通うことを褒める、リードを引っ張らずに歩けたらチョコレート、クラス最終回には、もっとも速く飼い主の元に戻ってきたら、ひっぱりっこおもちゃなどのジャックポットなどのご褒美を出してはいかがですか。


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