Pet Dog Training TIPS Vol.2
<2004>No.2
あくび

 ノルウェイのテゥーリッド・ルガースが犬のあくびを「カーミングシグナル」として解説しています。テゥーリッドはしばしば日本を訪れますので、次回来日の際にはぜひワークショップなどにご参加ください。私がよく飼い主の皆様にこうお話しします。犬があくびをするのは「葛藤している」、つまり次にどうするべきかわからない(何か次の行動に移る時)という意味だと。テゥーリッドの仮説によれば、犬が人間にあくびをしたら、私達もあくびをしてかえす、それが犬を落ち着かせる方法だそうです。これを裏付ける話もたくさんありますが、犬と人との間のカーミングシグナルとしてのあくびはいまだ科学的に証明されていません。

 以下は「犬好き」界の人ではない、人間の心理学者による研究です。これを読むとあくびの働きが、犬界の人間達が思っているものと同じであると信じたくなります。特にタイトルがそうですね。以下の情報はインターネット上の心理学ジャーナルからの抜粋です。生徒達があなたのことを頭のおかしいインストラクターだと思うようなら、ロバート・プロバイン博士の話を聞かせてあげましょう。

<あくびでみんながひとつになる>

Q:なぜあくびはうつるんでしょう。
A:わかりませんが、いくつかの推測はできます。

 メリーランド・バルチモア・カウンティ大学の心理学教授であるロバート・プロバイン氏はこう言います。私達は一緒にいるため、そして活動を共にするためにあくびをするのだ。彼は30以上におよぶ種の行動の神経メカニズムを研究してきました。あくびはあきらかに行動が移行するときの引き金になっています。私達は起きて活動を始める時にあくびをします。次に多くあくびをするのは眠る前です。

 大昔前まだ私達が原始的な暮らしをしていた頃、常に危険に直面していました。もしかしたら伝染性のあくびというのは、一日中を通し他の活動へ移行するための便利な道具だったのかもしれません。家族が目覚め、まるで伝染しているかのように次々とあくびを始めます。まもなく全員が食べ物探しや狩りに出かける準備を整えます。同じように午後になると1人があくびを始めると、次々に他の者もあくびをし始め、昼寝をするわけです。1人だけが警戒しながら起きていて、サーベルのような歯を持つトラにたった1人で立ち向かうということはありませんでした。


■あくびに関する事実:

*人は生まれる前からあくびをします。まだ母親のお腹の中にいるはじめの3ヶ月くらいにもします。超音波スキャナーで11週の胎児があくびやしゃっくりをするのがわかります。

*5才までくらいの子供は、あくびはしますが、人からうつってという形ではありません。5才以降11才の頃しだいに影響を受けやすくなり他人のあくびがうつるようになるのです。

*オリンピックの競技者はスタート地点で、学生は試験の前に、ミュージシャンはコンサートの開演前にあくびをします。かれらがあくびをするのは大きな活動−競技・試験・コンサート−の前なのです。

*チンパンジーと類人猿は、私達がするように伝染的にあくびをします。

*猫、魚、鳥はあくびをします。

*誤った説:人は酸素を取り入れようとあくびをする。あくびがうつるのは、人の密度の高いところにいて酸素がもっと必要になるからだ。プロバイン氏は、純酸素を吸っていながらもあくびをするという実験により、1987年にこの説の間違いを証明しました。


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