Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.19
2003
パピークラスと病気感染のリスク

 R.K.アンダーソン博士はアメリカの高名な獣医師・行動学者です。彼はジェントル・リーダーというヘッドカラーの共同考案者です。以下は、パピー・トレーニングを薦めるよう98年に獣医師対象のカンファレンスで行われたプレゼンテーションからの抜粋です。

■ 子犬のワクチンと社会化は同時進行すべし

獣医学に携わる私の同僚へ:

 子犬は生まれたと同時に学習を始めます。特に子犬の脳は、生後13週から16週の間に経験したことが、記憶に残りやすく学習に対する反応も高いようです。これが何を意味するかというと誕生から16週までの最適な期間に、他の子犬や成犬だけでなく子供や大人と接することにより得られる学習や社会化の経験、そしてさまざまな環境を提供する手助けをする責任がブリーダー、子犬の飼い主、獣医師、トレーナー、行動学者などにあるということです。
イラスト

 多くの獣医師が、子犬が生まれてからの16週の社会化と学習プログラムをブリーダーと新しい飼い主に(最初の7-8週までをブリーダー宅で、そしてその後の8週を新しい飼い主のところで)完全にゆだねています。人とペットの絆を深めるため、そしてその後の12年から18年の間大切な家族の一員として暮らしていくために、この社会化プログラムを予防注射プログラムの主要な一部分として、8週から12週齢の子犬は受けるべきです。

 この特別な学習期間を最大限に活用するため、多くの獣医師は飼い主に、8、9週齢から始まる子犬の社会化クラスへ子犬を連れて行くように勧めています。この年頃には伝染病に対するワクチンを少なくとも第一回目はすましている、もしくはすますように言われているはずです。その後少量ながら自然に、もしくは8週から12週の間にワクチンを重ねることにより、こういった抗原へさらにさらされ、免疫力アップの基礎となるわけです。飼い主と子犬の社会化クラスを開催する人々は抗原に対する予防策に注意を払い、衛生環境を整え、注意深いインストラクターと飼い主のケアにより、できる限り参加する子犬が危険な環境にさらされないようにします。

 経験と疫学データにより、相対的な安全性と、過去10年以上に渡り全米各地で行われたこういった子犬の社会化クラスでは病気の伝染がないことが確認されています。実際ジステンバーやパルボといった感染で命を落とすよりも、行動問題により死ぬ(安楽死となる)危険性のほうがはるかに高いのです。多くの獣医師が自分の病院や近くのトレーニング施設で、トレーナーは行動専門家と協力し、子犬の社会化クラスを開いています。その理由は、彼らが社会化とトレーニングを子犬が健康に過ごすプランの重要な一部ととらえているからです。この学習に対し感受性の高い特別な期間が、犬の行動に影響を与えるための最適な時期であり、その後健康的にすごすためにはもっとも重要でその後も長く影響を与える部分であると認識する必要があります。

 危険はあるのでしょうか?あります。しかし数例を除く10年間の良い経験とデータに基づいて、8、9週齢から始める子犬の社会化やトレーニングクラスの開催を一般的に獣医師が勧められるようになっています。しかしこういったクラスの開催前に、さらに予防接種が必要とされる特別な個々のケースや環境などでは、常に獣医師の専門家としての判断に従いましょう。パピークラスへの参加が遅れる場合には、この特別な時期を最大限に活用するために、飼い主が家族外の子供や大人に対する社会化プログラムを始めるべきです。

[ロバート K. アンダーソン獣医師]
Diplomate, American College of Veterinary Preventive Medicine
Diplomate, American College of Veterinary Behaviorists
Professor and Director Emeritus, Animal Behavior Clinic and Center to Study Human/Animal Relationships and Environmental College of Veterinary Medicine, Minnesota State Universiy


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