Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.18
2003
学習理論:負の罰
(NEGATIVE PUNISHMENT) P-


“負の罰”の定義

 負=マイナス、引くこと。
 罰=行動が止まる。

犬のトレーニングでは出てくるはずのご褒美のチャンスを取り去ることができます。良いことが去ってしまう。ご褒美がマイナスされるということです。
イラスト

例: 犬が鼻をならしてないている時、あなたのアイコンタクトと「静かに」という言葉がご褒美になります。目を合わさず、言葉もかけません。その結果、なくのをやめたのなら、犬は負の罰を与えられたということになります。
例: あなたがボールを手に持ち、投げる準備をしているとします。しかし犬が礼儀をわきまえず、何度も飛びつきます。そこでボールを上着に隠し、そこにただ立ちつくします。犬が静かになったとしたら、飛びつきの行動に負の罰が与えられたことになります。

■ 条件性負の罰を生徒が行う手助けをする

 条件性負の罰となる因子の確立は、正の強化子の場合とほぼ同様に行います。クラスでは、SNR(Signal of No Reward)、つまり報酬のでない信号という表現を使います。

復習: 条件性正の強化子の良い例は、犬にクリッカーの音と食べ物のトリーツの関係を教えることです。これはブリッヂや二次強化因子としても知られています。

 数週間正の強化を用いて良い行動を確立した後に、レガシーのクラスではインストラクターが条件性負の罰(SNR)を教えます。生徒にまずこう指示します。手のひらにあるトリーツをなにげなく犬に見せてください、言葉は何もかけないでください。犬がそのトリーツをたしかめにきたら、「あっ」という言葉を発し、手のひらを閉じてしまいます。これを行う時には感情を交えず、手を引っ込めることもしません。ただ手を閉じて、犬がトリーツをとれない状態を作るだけです。ちょうど「イエス」またはクリックである行動をマークし、次にフードが出てくることを犬に伝えるように行うのです。この「あっ」という音で不適切な行動をマークするのです。「あっ」の意味は「間違いです。もう一度トライしてみて」となります。犬が悪いのではありません。「あっ」は情報で、罰ではないのです。これにより今人間がしてほしい行動ではないことをしているのだと犬に伝えます。犬がエクササイズを理解する上で、グレーな部分を取り除くのに役立ちます。SNRを教えるのは、良い行動に対してたくさんの強化してきた経歴のある生徒と犬に限定してください。トレーニングの間、SNRは報酬のでない(間違った)行動を、生徒の犬に明確に伝えるのに役立つでしょう。
 「あっ」は平常時の表情と声のトーンで言ってください。きつい調子にする必要はありません。それから無差別にこの言葉を使わないようにしてください。そうしないと、その言葉の持つ意味が弱まってしまうからです。「あっ」の音は普段聞き慣れないものなので、おそらく犬は自動的にそれまでしていたことを止めるでしょう。これは自然な指向反射によるものです。犬は不思議な音の出所をみるでしょう:それがあなたなのです。

 生徒にはイスの腰掛け部分を使わせると簡単かもしれません。フードをイスの上に置いて、もし犬がフードに近づいていったら、素早くしかし静かに「あっ」と言って、フードを手で覆ってしまいましょう。床でもできますね。フードを床に落とします。生徒には自然なままでいさせ、言葉もかけないように伝えます。犬がフードを取ろうとしたら、そこで「あっ」と言います。ここでも機械的に感情を交えず、素早く足でフードを覆い隠してしまうようにします。そして目をそらしてください。「あっ」と言ってご褒美を隠した後にすることは、いろいろ変えてみます:単にそれを拾い上げ、その場を立ち去ってしまう。犬がすでに知っている行動をとらせ、それにご褒美を与える。犬に小さなトリーツを用意し、それを「オーケー」と言ってから食べさせる。この最後の例としてあげたエクササイズは、「オーケー」と言われたら犬がしたいことをできる解放(リリース)の言葉として犬に理解させることにもつながります。絶対にしてはいけないこと!「あっ」/オーケー、「あっ」/オーケーを、何度も繰り返して交互に言わないようにしましょう。ほどなくそれぞれの言葉の意味を混同してしまいます。

 「あっ」を教え始めるのはいつ?
少なくとも報酬に基づいたトレーニングを始めてから4,5週は経ってからにしましょう。そしてあるエクササイズで8,9割の確立で成功するようになってからです。

生徒への注意
「あっ」はトレーニングセッションで、新しい行動を教えるための言葉です。危険を防ぐためや緊急時に使うためのものではありません。


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