Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.16
2003
APDT(ペット・ドッグ・トレーナー協会)レポート

 ペット・ドッグ・トレーナー協会は、イアン・ダンバー博士により10年前に設立されました。1993年、フロリダ州オーランドにて最初の公式なミーティングとカンファレンスが開かれました。その後毎年アメリカ国内のさまざまな都市で開かれています。私はAPDTの創立会員で、これまでほとんどのカンファレンスに参加してきました。10周年を迎えた今年カンファレンスと記念パーティが再びオーランドで開催されたので、出席してきました。今年私が行ったプレゼンテーションは以下の3つです。

*クラスの指導ツールとしてゲームを用いることの賛否
*地域性にあわせたクラス運営
*人と人のコミュニケーション・スキル
イラスト

 今後のトレーニング・チップスで、これらのトピックスについては紹介していきます。過去数年の間にAPDTでプレゼンテーションを行った日本人もいます。最初は1997年にシカゴで、神奈川県の金子真弓インストラクターがスピーチをしました。内容は日本の犬のトレーニングについて、および当時彼女が教えていた栃木県那須にあるアニマル・ファンシアーズ・クラブの施設紹介でした。今年も数人の日本人がプレゼンテーションを行いました。トレーニング・チップスの編集を手がけている新居和弥と石綿美香です。内容は多くの応募者の中から選考に通ったD.I.N.G.O.(Dog Instructor's Network of Great Opportunity)に関するプレゼンテーションでした。このD.I.N.G.O.とは、デルタ協会の提唱する人道的基準を用いた家庭犬のトレーニングを普及することを目的とした、新しく生まれた国際的組織です。デルタ協会はヒューマン・アニマル・ボンドに関する有名な国際的組織です。

 APDTでは2年前にアメリカ国内の資格テスト専門機関と提携し、家庭犬のトレーナーに資格を与えることを始めました。必須条件を満たすと、CPDT(Certified Pet Dog Trainer)というタイトルを使用することができます。この必須条件のひとつに、250問の質問に数個の選択肢から答えを選ぶ筆記試験があります。内容は学習理論、行動学、指導技術、獣医学知識、道具などです。それぞれから参考となる質問を例に挙げておきます。これら質問内容のレベルは中程度の難易度と考えてください。それぞれの答えは一番最後に掲載しておきます。

■行動学
  系統発生的行動は
a. 多年に渡る選択的繁殖によりおこる
b. 子犬の頃に学習する
c. 人間から学ぶ
■学習理論
  消去に関する真実のひとつは
a. 行動が即座に止む
b. 行動が悪化する
c. 犬にとって報酬であったものを取り除くことにより、行動が永久に止む
■獣医学
  パルボ・ウィルスにもっとも有効な家庭用クリーナーは
a. ブリーチ
b. アンモニア
c. 食器洗い洗剤
■指導技術
  インストラクターはひとりだけです。生徒が円を描いてヒーリングの練習をしています。インストラクターは
a. 真ん中に立つ
b. 生徒と共に円を描いて歩く
c. 円の外に立つ
■道 具
  クリッカーはこのような使用が可能だ
a. 罰
b. 報酬の約束
c. リコールのキュー
d. A、B、Cすべて

 これまで日本人で合格した人はいません。アジアの最初のCPDT資格取得者はシンガポールのアンジー・タンです。残念なことにこの試験は英語のみで行われており、外国人が受験するには専門用語や表現などの壁があります。現在、将来的に日本語で受験できるかどうか交渉中です。皆様には進展状況を随時お知らせしていきます。

 現在、APDTではこの資格試験の次のレベルを検討中です。犬のトレーニング技術を実際にテストする項目も入る予定です。今年のカンファレンスにも世界各国からの参加がありました。日本、アメリカ、カナダ、マレーシア、イギリス、トルコ、ギリシャ、スイス、メキシコ、スペイン、バミューダ、オーストラリア、フランス、ノルウェイ、ブラジル、オーストリアなどなど、覚えきれないほどです。次のAPDTミーティングは、2004年秋コロラド州デンバーで開催されます。一度訪れて世界中のトレーナーから最新情報を学んでみませんか?

テリー・ライアン、CPDT

質問の答え
行動学A 学習理論B 獣医学A 指導技術C 道具D

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