Pet Dog Training TIPS Vol.1 VOL.14
2003
おもちゃをご褒美として使う
 生徒の多くは誘導やご褒美にフードを上手に使えます。一方フードの引き上げと強化のスケジュールを変則的に行うという点については、こちらが望む通りにはいっていないかもしれません。理由のひとつにフードで行動がえられるので、飼い主にとってはそれが「頼みの綱」になってしまうのです。
翌週のクラスではフードは使いませんと生徒に告げてみましょう。ご褒美として使えるのはおもちゃのみです。生徒はやる気になりますよ!
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 発育の専門家は、遊びを実際の生活の実践だとみなしています。小さな子供は生存の実践に役立つおもちゃを持っています。ひとつの例は捕食です。子供向けお料理セットや釣り竿などは、捕食を実践するためのおもちゃです。犬族にみられる獲物−追うという一連の行動は以下のものから成っています。臭いまたは目で獲物を見つける、忍び寄る、追う、つかむ、振り回す、殺す、手に入れる、食べる、食べ残しを守る。これら生存の実践のどの部分に、生徒の犬がもっとも興味を持っているか聞いてみましょう。ディスクを追いかけることですか?おもちゃをキューキューならすことですか?ボールのレトリーブ?ひっぱりっこ?噛むこと?それぞれの犬にあった適切なおもちゃ選びの手伝いをしてあげます。

 特別なおもちゃというのは一緒に遊べるものです。トレーニングの時だけ取り出します。あまり転がらないおもちゃで、コントロールしやすいよう持ち手のついているのもがよいでしょう。地元のテニスクラブに使用済みテニスボールをとっておいてもらえるか聞いてみます。友達や生徒に古い靴下やホースをとっておいてもらえるよう頼んでみます。クラス内でおもちゃを作る時間を設けます。犬にフセマテをさせているあいだ、生徒はおもちゃ作りをするのです。テニスボールを靴下のつま先まで押し入れます。もしキューキューなるおもちゃが大好きだという犬がいたら、テニスボールの代わりにおもちゃをいれてもよいでしょう。安定するようにおもちゃの入ったすぐ上にしっかりと結び目を作ります。その反対側、靴下の先端部分にも結び目を作り、飼い主が持ったときに滑らないようにします。フードが大好きという子には、犬の関心を引きつけるためまずおもちゃの中にほんの少しフードを入れます。後にフードはとりのぞけば良いのです。

 生徒にはおもちゃを家に持ち帰らせますが、引き出しにしまっておくようにさせます。毎食事前に犬を連れて一緒にその引き出しのところまで行きます。ただ行くのではなく特別な形ですよ。この方法についてはインストラクターが生徒にデモンストレーションを見せる必要があります。以下が方法です。

 引き出しにおもちゃを隠します(トレーニングする場所に引き出しがなければ、木の太い枝や棚でも構いません)。デモに使う犬を選び、アテンションをとったらとても興奮した様子を見せながらおもちゃを隠した場所まで一緒に歩いて行きます。犬には集中させておきます。犬は何が起こっているのか不思議に思います。おかしな音をたて、おもちゃのほうを向きじっと見つめます。おもちゃにそっと近づきますが、犬の注意を引きつけておくためおおげさな動作で行います。素速くおもちゃをつかみ、うんと興奮した様子をみせます。そのおもちゃで遊びますが、その間犬を無視し、おもちゃも渡しません。30秒ほど犬になったつもりで、そのおもちゃで激しく遊ぶのですが、犬には取らせません。おもちゃが生きもので逃げるように見せかけ、大声を出したり、笑ったり、小声でささやいてみたり、立ち止まっておもちゃをじっと見つめたり、こういった行動を繰り返します。しかし30秒したらおもちゃは片づけてしまいましょう。生徒にこの「ドラマ」を毎食事前に演じさせるのです。演じ終えたら、おもちゃを片づけ、何も言わずに犬に食事を与えます。

 生徒には、翌週そのおもちゃをポケットやシャツの中に入れてクラスに持ってくるよう伝えます。しかしここでも犬に渡してはいけません。インストラクターとしては、ご褒美としてフードよりもおもちゃが適当なエクササイズをいくつか考えておきます。呼び戻しやヒーリングなどが良いでしょう。

  新しいおもちゃを使って飼い主の存在がより魅力的になるように、そしてフードに頼ってしまうことを減らしていく手助けをしましょう。


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