Pet Dog Training TIPS Vol.3
<2005>No.5

バリア・フラストレーション

バリア・フラストレーションはどうやっておこるのか?

 バリア・フラストレーションということを理解するのは、犬により良い生活環境を提供するため知っておくことが大切です。すべての犬のようにあなたの犬も社会的な動物です。他の犬や人に会うときにごあいさつをしたがるのも、犬が本来持っている性質です。十分近づくことができないと、例えばカーブを描きながらお互いの尻尾まわりの匂いを嗅ぎあうという、普通のボディランゲージによるコミュニケーションが、ひどく妨げられることになります。自然な行動がとれなくなるということです。その結果として起こるフラストレーション行動が、興奮、吠え、飛びつきなどの交ざった行動となって現れます。こういったケースはフェンス越し、クレートの中、駐車している車内、係留、リードが張った状態でおこります。

 そういったバリアなしで人や犬に会うことになると、あいさつが上手にできないで、オーバーなリアクションになってしまうことがあります。近づいてくる犬や人が、あなたの犬の過剰な反応をしているのを見ると、防衛または攻撃的な反応をみせるため、さらにあなたの犬を怖がらせることになります。そこで飼い主であるあなたが、社会的なコンタクトをしようとしている犬を叱ったり、相手から引き離すことで状況を悪くしてしまう可能性があるのです。ここで、あなたの犬にはもうひとつ心配の種ができてしまうのです。自分に近づいてくる犬や人がいると、飼い主に叱られるという不安です。この一連の出来事を繰り返すことによって、あなたの犬の行動はどんどん悪化します。さらに吠えや飛びかかる行動が、バリアのない状態でも他の人や犬に対してみられるようになります。これは古典的条件付けによるもので、犬が「考える」こともなしにおきてしまうのです。

バリア・フラストレーションをどうしたら防げるのでしょう?

 幼いうちの適切な社会化が、犬のすべての社交的スキルをみがき、まわりのものに対して自信をもたせることに役立ちます。これにはオフリードやリードをたるませた状態で、他の犬とかかわりあうことも含まれます。子犬には適切な犬の友達を選び、一度に1,2分間あわせます。対象として選ぶ犬は、あなたの犬と同じくらいの大きさで、すでにある行動を知っている犬がよいでしょう。つまり他の子犬を対象として選ぶのが、必ずしも最適ではないということです。成犬はすでにある行動ができるし、環境のキューに対する反応を知っていますから。子犬が乱暴にしていることを、そのままにさせておかない成犬を選びましょう。しかし、その犬が精神的にも身体的にも、子犬を圧倒してしまうようなタイプの犬は避けます。良い犬とは、子犬が悪さをした時に、それは良くないことだと教えられる犬です。これを攻撃性と誤解しないようにしてください。

バリア・フラストレーション行動を改善するには?

 その行動を繰り返させないことです。駐車中の車に犬を残さない、目の届かないところに犬を係留しないなど、気をつけてください。そこで古典的逆条件付けができる機会を作ります。そこでは人間が行動の引き金となる部分を以下のように操作します。匹敵するような感情反応を作り出す古典的条件付けを使います。このテクニックは条件感情反応(CER)といわれるものです。環境から悪い行動を学んだので、今度は環境から違う形で行動するように学習させるのです。引き金となるものが、近づいてくる人や犬であれば、この引き金に対する反応を変えていくわけです。

  もっとも簡単な方法は、その犬の一日の食事を何回か分にわけます。もし引き金(犬や人)を一日に3回用意できるなら、食事を3回に分けましょう。引き金が現れたその時が、犬にフードを一粒ずつ与え始める人間側のキューです。フードが食べるという行動を引き出すので、それによりとびかかったり吠えたりという行動を防ぐことができます。近づいてくる人や犬を見ているけれども、吠え始める前に、フードを食べさせ始めるタイミングを狙ってください。もしタイミングを逃してしまったとしても、近づいてきてくれた犬や人がいなくってくれるまでフードを与え続けてください。犬が吠えることを強化しているように思うかもしれませんが、人間側のタイミングが良くなってきて、引き金が現れるとご褒美も出るという経験が始まると、吠えるということに対する犬の考え方が変わってきます。犬の視点からするとこうなるわけです。「あ、誰か来た。やったー!フードが出てくるぞ。あ、あの人がいなくなった。あらら、フードもでなくなっちゃった!近くに寄ってあいさつはできないけど、人や犬が見えるのと良い事があるぞ。だってフードが食べられるんだもの!」

さらに詳しい情報は:
デイヴィッド・テゥーバー
ジーン・ドナルドソン


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